副業で得たリアルな知見を主業にフィードバック


複業、兼業、パラレルワーカーなど。テクノロジーの発達により、距離や地域を問わずにどこでも働くことができる環境が整備されるなど、以前と比べると副業を行う人事が増えています。一方で興味はあるけれど、最初の一歩が踏み出せない人も多いと聞きます。そこで実際に都市部で働きながら、地方企業で副業をされている杉浦裕樹さんをインタビュー。副業のきっかけや株式会社ササヤマで実際に副業を行ってみての感想、得たものなどを聞きました。

 

 

 

自分のスキルがどこまで通じるのか確かめたかった

――杉浦さんが副業に興味を持ったきっかけは何だったのですか。

 

業務の一環で副業制度の構築・運用を経験したことが、そもそものきっかけです。

 

私は過去、別の会社に人事業務の勉強のために出向していたのですが、そちらの会社では、以前から副業が認められていました。ただ許可が必要で、その可否が曖昧だったんです。そこできちんと許可の際のルールを定めることになりました。そして実際にルールが構築された後、副業を希望する従業員からの申請対応をおこないました。

 

次のステップとして、今度は自社でもルールを定めることになったのですが、そもそも自社では副業を誰もおこなっていませんでした。その頃には漠然とでしたが、副業に対して自分が興味を持っていたこともあり、「だったら自分がモデルケースになろう」と。

 

同時に、これまでの経験やスキルが外部の企業相手に、どこまで通じるのか。言い方を変えれば、私の市場価値はどの程度なのか確かめたかった、という想いもありましたね。というのも、私が勤めている企業は歴史も規模もそれなりの企業であったため、以前からある人事制度をベースにブラッシュアップしていく業務が大半だったからです。

 

ですから副業先の企業は、あえて規模がそれほど大きくない、ゼロベースでスキルを活かせる先を探していました。いくつかの応募プラットフォームを定期的にチェックしていくなかでササヤマの求人を目にし、自分の希望に合致した内容だったので応募することにしました。

 

 

経験値とパーソナリティを記載したオリジナルの応募要項で採用に至る

――応募から採用までの流れについて教えていただけますか。

 

応募の際は、ササヤマの課題に対する簡単な提案書を添付しました。これまでの人事業務のキャリアはもちろん、今回の案件に対する自分なりの提案を明記。評価制度の再構築だけでは不十分であることを経験から知っていましたから、その他の業務が必要になってくることも提案しました。

 

 

その後はWEB面接を一度行いましたが、時間は15分ほど、事前に提出したPowerPointの内容に沿ったものなので、応募から採用まで特に問題なくスムーズでした。

 

――勤め先の企業にはどのタイミングで伝えたんですか。

 

応募・選考している段階で上司に伝え、採用が決まった後に改めて、「本業に支障のないようにします」とはっきりと伝えました。先に説明したとおり副業をすること自体はルールを守れば認められていましたので、特に反対されることはありませんでした。

 

 

大変だからこそ“やりがい”を感じた

ササヤマ副業者さんとオンラインMTG

 

――具体的にどのような業務をサポートしているのか、教えていただけますか。

 

もともとの依頼内容は「人事評価制度の再構築」でした。ただ評価制度を構築する以前の段階、ササヤマというのはどんな会社で、どのような人が働いているのか。また現状の評価制度も含めて、会社が抱える課題を知ることが重要だと考えていましたので、まずはそれらのことを知りたいと、伝えました。結果、社長も含めた70名ほどの全従業員と実際にお会いし面談を行い、各人の考えをヒアリングするところから業務はスタートしました。

 

現状の評価制度の確認はもちろん、社長ならびに全従業員へのインタビューを重ねていくと、そもそもの根本課題が浮かび上がってきました。人事の専門家がいないことです。そこでまずは、一般的な人事の知識を提供する必要があると考えました。

 

評価制度に記載されている面談が実際に行われているか。内容はどうなのか、といったことも洗い出しました。たとえば上司は面談時にどんなことを聞いているか。その内容が、ドキュメントとして定型化しているのか、面談のあとのフィードバックはどのように行うべきか、などです。これまでの経験から、これらも含めて評価制度だと考えていたからです。

 

――お話を聞いているとやるべきことが広範囲で、かなりの仕事量なのではとの印象です。

はい、かなり大変です(笑)。実際、既存の評価制度はありましたが、ほぼ抜本改革でしたたからね。ただそのようなハードな業務こそ私が望んだものですし、実際に行ってみるとやりがいがあるな、と。そして評価制度が実際に機能した際には、ササヤマがどこまで変わるのか。そのような楽しみというか期待感の方が、苦労よりも勝っています。

 

 

副業のおかげで時間を効率的に使えるようになった

――副業を行う時間帯など、本業との兼ね合いについても教えてください。

家族にも迷惑がかからないよう、子どもが寝静まってから夜に行うことが多いですね。

平日は家に戻ってきてから1~2時間ほど。休日は3~4時間といったボリュームです。

 

――つまり寝る時間を削って行っていると?

 

いえ、そんなことはないですね。逆に、副業を始めたことで時間の使い方を改めて考えるようになりました。以前であれば時間に余裕があったときは、テレビやネット動画を見るなどして過ごしていることが多かったのですが、これらの時間をカット。さらにできるだけ早く帰宅しようと昼間の仕事も以前にも増して、効率化を推し進めるようになりました。

 

――応募から業務サポートまで、何か困ったことやトラブルはありましたか。

 

特にありませんでしたが、謝礼も含めた契約内容、私の場合であれば出張や宿泊に関する旅費交通費は支払ってもらえるのか。作成した評価制度の権利はどうなのか。そのあたりのことを、最初の段階でクリアにすることで、後々のトラブルに繋がらないよう配慮しました。

 

 

まずは“やってみる”ことが大切

ササヤマ副業者杉浦さん

 

――改めて、副業にチャレンジしてみてよかったと思いますか。

 

はい。成果はこれからですが、ここまでの流れで十分、自分がこれまで培ってきた知識や経験が他の企業でも通用するとの手応えを感じているからです。ですから本案件が無事終了した際には、今度は別の業種で、新たな副業に挑戦したいと思っています。

 

正直、副業はまだまだ浸透していない、という印象です。実際、私の会社では先に説明したとおりですし、今回のことを同僚に話しても「実際、何するの?」「プライベートの時間も仕事するの?」といった、反応が多いですからね。そのようなイメージもあってか、副業に興味があっても挑戦しない人も多いように感じます。これは、以前の自分がそうであったので、とてもよく分かるのですが。

 

ただそのような方には「まず、やってみる」とのメッセージを伝えたいですね。実際にやってみることで得られることは大きいですし、仮にうまくいかなかっとしても、私が時間の管理を見直すきっかけを得たような、気づきやベネフィットを得られると思うからです。

 

そしてこれが一番重要ですが、いわゆる机上の理論と、実際にやった人の言葉や経験値では、重さも説得力も違いますよね。私は副業で得たリアルな知見を会社にフィードバックすることで、勤めている会社がさらに良くなればと考えています。

 

余談ですが、鳥取を訪れたのは生まれて初めてでした。ヒアリングに訪れた際には、会社の方から教わった地元の名産、セコガニを買って帰り、家に戻ってから家族で美味しくいただきました。コロナが落ち着いたら改めてササヤマを訪れ、人事評価制度も含めた人事ノウハウの提供はもちろん、砂丘を訪れるなど、観光も楽しめればと思っています。

 

 

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Skill-Shifter's Profile
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愛知県の大手自動車部品メーカーで労務、就業規則、在宅勤務、副業など各種人事施策の設計・運用に携わる

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豊富な経験と技術に基づき、自動車部品、弱電、事務機器、厨房機器、省エネ機器など様々な分野の金型を設計・製作

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